肥満症患者自身によるセルフケアへの取り組みから生じる「やりがい」

患者さん自身によるセルフケアへの取り組み

肥満症の治療では、食生活の改善や運動など、患者さん自身によるセルフケアへの取り組みが求められます。これらの取り組みに「やりがい」を生み出すには、患者さんが主体的に関われる環境をどのように準備するかが影響します。そういった環境を構築するには、エンパワーメント·アプローチが示す治療関係のあり方が指針となります。エンパワーメント·アプローチという言葉は多義的ですが、ここでは患者さんのセルフケア活動を促進し支えるための治療という意味で用います。この場合、エンパワーメント·アプローチは、患者さんに「セルフケアに関する決定権を譲り渡すという医療従事者の姿勢」を指しています。すなわち、医療従事者は患者さんを「教育」「指導」する(患者さんの取り組みは受動的になりやすい)ばかりでなく、情報提供とその後の話し合いなどを通して、患者さんが自ら実行可能な課題を設定し、行動を変えていくことを支援しようとするものです。

具体的なやり方

具体的には、医療従事者は患者さんと、今の生活をどこからなら変えることができるかについてよく話し合い、明日からでも取り組めそうな実現可能で具体的な課題を一緒に設定することが大切です。このように身近で小さな目標を設定することは課題の取り組みやすさを増し、取り組みを実行できるという自己効力感(セルフ·エフィカシー)を高め、成功体験を積むことにつながります。もちろん、それがさらなる取り組みを促してくれるでしょう。こうした支援を重ねることにより、診察場面は患者さんを教育する場から患者さんを認める場になりやすく、医療従事者と患者さん、双方にとってより好ましい環境や関係が育まれることも期待されます。

取り組みに対する患者さんの準備性

また、取り組みに対する患者さんの準備性を考慮し、その段階にあった支援を提供することも必要です。準備性とは「行動変化を起こすための心理的な用意がどこまで整っているのか」を表すもので、必要とされる取り組みでも、それが実行できるかどうかはその人の準備性の有無にかかっています。したがって、患者さんの準備性の段階に応じた支援をテイラーメイドすることが医療従事者と患者さん、双方にとって無理のない治療につなが ります。

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