肥満症に対するさまざまな外科手術及び変遷のこと

肥満症に対するさまざまな外科手術

肥満症に対する外科手術は、1954年に空腸回腸バイパス(jejunoileal bypass)が行われて以来、さまざまな術式の変遷を経て、現在、

①調節性胃バンディング術(adjustable gastric banding:AGB)
②スリーブ状胃切除術(sleeve gastrectomy:SG)
③ルーワイ胃バイパス術(Roux-en-Y gastric bypass: RYGB)
④胆膵路変更·十二指腸バイパス術(biliopancreatic diversion with duodenal switch:BPD/DS)などが、確立された術式として世界的に広く施行されています。

それらの外科手術の基本原理

基本原理は、胃の容量を小さく形成することにより摂食量を抑制することと、消化管(小腸)をバイパスすることにより消化吸収を抑制することのいずれか、もしくは両方の組み合わせにより、効果的な体重減少を図るという考え方に基づいています。前述①②は摂食量を抑制する術式で、③④は両方の要素が組み合わさった術式ですが、④はバイパスされる消化管が長く、吸収抑制の要素がより強く、体重減少度が最も大きくなります。④は日本を含むアジア諸国ではほとんど行われていませんが、これは欧米人と比較し、アジア人では肉類など動物性蛋白質の摂取量が少ないため、強い吸収抑制を伴う術式では、術後の深刻な栄養障害が危惧されるためです。一方、日本を含むいくつかの地域では、スリーブバイパス術(sleeve gastrectomy with duodenojejunal bypass:SGB)が行われています。これは、BPD/DSバイパスされる消化管長を短くした、いわゆる“BPD/DS変法”です。

調査によって外科手術の施行件数

2008年の調査では、世界で年間34万件超の外科手術が行われており、術式の内訳はRYGB 49%、AGB42%、SG5%、BPD/DS2%でした。全体の91%が腹腔鏡下手術(Laparoscopic surgery)で行われており、9%が開腹手術(Open surgery)でした。2008年以降、AGBの施行件数は減少傾向にある一方、SGが増加傾向にあります。

なお、胃内バルーン留置術(Bioenterics intragastric balloon:BIB)は、内視鏡観察下に胃内に風船を通常約6力月間留置することで、物理的な胃内容の減少·機能的な胃内容の排泄遅延による減量効果を期待するものです。これはいわゆる”手術”ではありませんが、広義の外科治療に含まれます。簡便かつ可逆的ですが、6力月の一時的治療であり、この間、胃部不快感が続き、バルーン抜去後のリバウンドが高率であるといわれています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です