肥満は睡眠時無呼吸症候群や脂肪肝を誘発する重要な危険因子とされる

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

肥満は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こす重要な危険因子とされています。肥満にSASが合併する病態をPickwichian症候群ともいいます。

無呼吸とは、10秒以上続く口·鼻の気流の停止を意味します。これに日中の眠気、倦怠感、熟眠感の欠如などを伴った場合に、SASと診断されます。睡眠1時間あたりの無呼吸低呼吸出現回数を無呼吸低呼吸指数(AHI)と呼び、「AHI 5以上15未満」が軽症、「15以上30未満」が中等症、「30以上」が重症とされており、治療選択の基準となります。

慢性的なSASを放置すると、低酸素血症による多血症、高血圧、夜間狭心症、心不全の原因となり、それらに換気不全が合併した場合は重篤な心不全、さらには腎機能低下も合併し、死に至ることもあるため、危険です。持続的陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure)を導入するとともに、減量治療を実施する必要があります。10~15%の減量により、AHIを25~50%低下させる効果があるとされています。

脂肪肝

肝細胞に中性脂肪が過度に沈着し、肝機能障害を呈する疾患を脂肪性肝疾患(fatty liver disease:いわゆる脂肪肝)と総称します。脂肪肝は、さらに非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver disease=NAFLD)と、炎症性病変のある非アルコール性脂肪性肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis=NASH)とに分けられ、後者は、肝硬変、さらには肝癌発症につながるとされています。

NAFLDは、1)血液生化学検査(ALT、AST:正常値から軽度上昇し、多くはALT優位、γ-GTP上昇、コリンエステラーゼ上昇)、2)腹部超音波検査、3)腹部CT検査により診断されます。NASHは、これらに加え、肝生検の病理像で、肝細胞変性·壊死、炎症性細胞浸潤、線維化などを伴う脂肪沈着がみられた場合に診断されます。いずれも肥満と密接に関係しています。

上野らの報告では、3力月間の食事療法と運動療法により平均BMIを31から28に減少させたところ、脂肪沈着が有意に減少しました。NASHにおける研究でも、1年間の食事療法で平均体重を98.3kgから95.4kgに減量させることにより、60%(9/15例)に組織学的な改善が認められています。

脂肪肝の治療では、一般的に、生活習慣(食事、運動)の是正により、6~12力月間で5~10%の体重減少を目標とすることが推奨されています。減量手術で体重を平均34.0kg(約52%)減量させることにより、約2年後にNASH例を含むNAFLDの組織学的な改善が認められました。

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