肥満は心不全の促進因子の他には、肥満関連腎臓病も最近注目されている

●心不全

高度肥満はもちろん、軽度でも肥満は心不全の促進因子です。高度肥満の人は体重による重力負荷に加え、肥満による二次的な換気不全や睡眠時無呼吸などを有するため、心肥大型の心不全(肥大型心筋症)の多いことが知られています。高血圧の合併も心不全促進の要因に挙げられます。心不全が重篤になると、突然死する例もあるため、迅速な対応が必要です。

フラミンガム研究(Framingham Heart Study)では、高度肥満(適正体重を75%以上上回る肥満)でない程度の肥満でも、心不全発症率が高いという結果が出ています。女性の場合は、太り気味(過体重、BMI=25~30)のレベルでも心不全の有意な増加が認められ、適正体重の人と比べて男性でも1.90倍、女性では2.12倍の発症がみられ、BMIが1増えるごとに男性では5%、女性では7%増加したと報告されています。

高度肥満でないレベルの肥満でも、糖·脂質代謝や血行動態の異常、左室リモデリング、酸化ストレスなどが複合的に作用し、心不全を引き起こすと考えられます。心不全にはしばしば腎不全も合併しますが、心不全とともに睡眠時無呼吸の治療、さらに減量治療も実施したところ、心不全•腎不全とも著明に改善した例を経験しています。心不全の診断には「フラミンガムうっ血性心不全診断基準」が用いられ、ベッドサイドでの診断が可能です。

●腎疾患(肥満関連腎臓病)

肥満の人の中には、糖尿病がなくても蛋白尿を認める例があり、腎機能低下に向かうこともあります。これは肥満関連腎臓病(ORG)と呼ばれるもので、最近注目されています。

高度肥満では、糸球体内圧の上昇、ろ過量の増加がみられ、蛋白尿が出やすいとされていますが、持続的な糸球体高血圧•糸球体過剰ろ過は、蛋白尿のさらなる増加を生みます。組織学的には、巣状分節性糸球体硬化症(Focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)が肥満関連腎臓病の代表格であり、腎生検組織学的所見で、糸球体肥大やメサンギウムの拡大を呈することも知られています。

わが国では未だ肥満関連腎臓病の診断基準が確立されていませんが、次のような特徴を有しています。
1)肥満を有する(BMI≧25)
2)蛋白尿が主体である
3)糸球体肥大(≧200mm)や腎肥大を呈する
4)腎生検組織診断で、巣状分節性糸球体硬化症を呈するメサンギウム領域の拡大がみられることもある
5)糖尿病性腎症•高血圧性腎硬化症を除外できる

診断においては、これらすベての条件を満たす必要はありませんが、メタボリックシンドロームや糖尿病を合併した肥満に肥満関連腎臓病の頻度が高いとされます。早期診断のためには、尿蛋白の定量検査で尿アルブミン値を測定することが、糖尿病性腎症の診断同様、望ましいでしょう。なお、肥満関連腎病に伴う尿蛋白は、減量治療4~5kgで改善します。

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