肥満に伴う脂質異常症と冠動脈心疾患の治療

脂質異常症

肥満は、しばしば脂質異常を伴います。LDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、トリグリセライド150mg/dL以上のいずれかにあてはまれば、脂質異常症と診断されます(日本動脈硬化学会)。BMI増加とともに、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症、高LDLコレステロール血症のいずれもみられますが、これらは減量で改善します。

高脂血症のWHO分類でみても、肥満ではⅡa、Ⅱb、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ型のいずれの型も見られますが、減量でほぼ一様に改善させることができます。脂質異常症の治療目標値は、動脈硬化性疾患の有無、危険因子の有無などに応じて設定されています。たとえばLDLコレステロール値は、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患既往歴の有無で、それぞれ120mg/dL未満、1OOmg/dL未満、80mg/dL未満を目標とすることが推奨されています。なお、2012年、新たに詳細なガイドラインが出されています。

治療はまず減量目的の食事療法ですが、総摂取エネルギー量の制限だけではなく、食事内容(PFC比)が脂質異常症の改善度を大きく左右します。高LDLコレステロール血症には低脂肪食が、高トリグリセライド血症には低糖質食が有効です。ちなみに、急速な減量時にはHDLコレステロール値が一過性に低下しますが、3~4か月後に上昇します。

糖尿病、メタボリックシンドロームの患者が含まれる100名以上を対象に、食事介入を12か月間以上実施した治療成績では、2型糖尿病において内臓脂肪が減少した群でより著明な脂質プロファイル改善効果がみられたと報告されています。

冠動脈心疾患

冠動脈心疾患は、心筋梗塞と狭心症に分類できます。心筋梗塞は、心筋壊死のバイオマーカー(トロポニンあるいはCK-MB)の持続的な上昇および低下に加え、①自覚症状(胸痛、胸部圧迫感などの症状)、②心電図上、異常Q波を認める、③心電図上、虚血性変化が認められる(ST上昇あるいは低下)、④冠動脈造影および形成術、⑤急性心筋梗塞の病理学的所見のうち、少なくとも一つを満たす場合に診断されます。

狭心症(慢性虚血性心疾患)は、自覚症状として胸痛発作(労作時、安静時、労作兼安静時)と、心電図上、ST低下等の異常があることが特徴です。肥満は必ずしも冠動脈疾患の危険因子として扱われていませんでしたが、近年、メタボリックシンドロームが冠動脈心疾患の重要な危険因子であることが指摘されて以来、肥満、特に内臓脂肪型肥満が冠動脈疾患と深く関係すると認識されています。

狭心症の治療として減量は以前から第一選択ですが、減量によって冠動脈疾患発症率や再血行再建術率、心事故が減少するとの報告も数多くあります。

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