現代人の中でよく見られている肥満は、社会的重大な問題になります

肥満を放置すると、何が悪いのですか

肥満は、動脈硬化症や腎臓病の促進要因となるのみならず、膝関節症など運動機能障害の温床です。加えて肥満者は日常生活で大きなストレスを抱えていることが多く、それが肥満症治療を困難にする要因ともなっています。肥満症を放置すると、健康障害を助長するだけでなく、QOLが低下したり、就労が難しいなど社会生活に支障をきたすようにもなります。そうした事態を避けるため、肥満を放置しないことが強く望まれます。

早期からの治療介入が必要です

肥満に合併する疾患の多くは初期の段階では自覚症状がほとんどなく、多くの肥満症患者は危機感を抱いていません。また、合併症を発症しているにも関わらず、肥満症治療に意欲を示さない人もしばしば見られます。しかし、脳梗塞や心筋梗塞を起こすと重い後遺症を残すことになり、その結果、本人の生活困難のみならず、家族、社会に大きな負担を強いてしまいます。したがって、本人のQOL低下や社会的損失を防ぐために早期からの治療介入が必要です。減量療法によって、肥満症の合併症は確実に抑制されます。

肥満でもたらされる社会的損失

肥満症に伴う様々な健康障害は、本人のQOLを低下させるだけでなく医療費を増大させます。また社会的な支援が必要になる人が多く、なかには生活困難をきたす人もいます。肥満症患者の増加は、医療·福祉全般に関わる費用に大きな影響を与え、国民負担の増大を招きます。通院·入院による労働機会の喪失、家事を含めた労働不能状態といった問題も重大です。肥満症は、“大きな社会的損失をもたらす疾患”との認識が必要です。

肥満に対する減量治療

減量治療は簡単のように思われますが、長期的にみるとなかなか効果が上がりません。確実に減量が得られた外科治療成績(海外)では、多くの合併症の改善がみられ、最終的に、生命予後もよいと報告されています。したがって、減量治療で合併症は改善するといってよいでしょう。

世界的には、どのような取り組みが行われていますか

WHO(世界保健機関)は2004年、生活習慣病の誘因となる肥満を予防するため「食事、運動、健康に関する世界戦略」を採択し、ジャンクフード税など税制の導入、食品の広告制限、子どもへのジャンクフード販売の制限などを促しています。これを受け、ハンガリーでは、通称「ポテトチップス税」が2011年に導入され、袋入りスナック菓子、クッキー、炭酸飲料、栄養ドリンクなどに課税されるようになりました。米国では、70項目にわたる具体的な行動計画を2010年にまとめ、米国農務省や国防総省、教育省などと協力しながら、小児肥満対策を推し進めています。他の国や地域でもそれぞれの実情に合わせた取り組みを行っています。

わが国では行われている取り組み

2008年4月から、40~70歳を対象にメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)をターゲットにした特定健診•特定保健指導が始まりました。特定保健指導では保健師や管理栄養士による個別支援のほかに、グループ支援、電話支援、メール支援などが行われています。 厚生労働省が2008年度に行った調査によると、特定健診を受けた38万人のうち、特定保健指導の対象となった6万964人の体重が、1年間で平均1.7kg減少したと報告されています。

一方、市町村や企業は、「サンサンチャレンジ」(3か月で3kgやせる市民大運動)など、ヘルスプロモーションを活用した減量活動を実施しています。肥満症患者に対しては、認定肥満症専門病院などの医療機関で、入院を含めた包括的な減量治療がチーム医療として行われています。

これらの対策に先立ち、厚生労働省は2000年より「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を展開してきました。健康日本21では、体重コントロールに関する目標値が設定され、自治体を中心にさまざまな活動が実践されています。2013年からは健康日本21(第2次)として継続的な取り組みがなされています。

以上のように、わが国でもさまざま取り組みが行われていますが、男性の肥満者は依然増加しています。

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