治療を始める前に、肥満症患者の性格特徴を把握したほうがいい

肥満症と生活環境

肥満症は、遺伝的素因に加え、飽食の時代と文明化した社会を迎えて変化してきた食環境、生活環境の影響を大きく受ける現代病です。治療(体重の是正)に関しては、摂取エネルギー量を消費エネルギー量以下にすればよく、原理的にはさほど難しくはありません。つまり、患者さん一人ひとりがこれまでの生活習慣に問題意識を持ち、その改善を図ることでコントロールできる病といえます。

精神心理、社会面の問題から見る肥満症

しかし、臨床現場で直面する多くは、治療難渋症例です。肥満症治療を困難にさせている一因に、一見、のんき、無頓着に見える患者さんが、実は精神心理、社会的問題を抱えている点が挙げられます。むしろ、医療者側は、精神心理、社会面の問題の存在を念頭に入れて治療に臨むことが大切です。

具体的には、ます、潜在する精神疾患を疑ってみる必要があります。食行動コントロールが不全状態となり、無茶食いやだらだら食いを繰り返す患者さんには、うつ病や不安障害等が潜在している場合が多いといえます。また、知的障害や発達障害がある場合は、自己コントロール力そのものが低いため、高度肥満となる傾向があります。こうした症例には傾聴的態度で接し、必要に応じて、精神科医や臨床心理士と連携を図りながら治療を進める必要があります。

食行動と肥満症

次に、患者さんの置かれている環境も理解する必要があります。食行動が乱れがちな生活パターンを強いられる職業に就いていたり、家庭内にトラブルを抱えている場合、あるいは経済的に困窮している場合などは、高価なものは手に入りにくいものの、せめて食事だけはと手近で安価な食べ物に救いを求める傾向が少なくありません。また、時間に追われていたり、疲れていたりして、食行動のコントロールができなくなっている場合もあります。こうした状況にある患者さんの治療は、通常の減量指導は当然ですが、同時に食行動に異常をもたらしている環境要因の解決も図る必要があります。

患者さん本人の性格特性の理解も必要

さらに、患者さん本人の性格特性の理解も必要となります。上記状況が引き起こされる根底に、固有の性格特性が作用し、ストレスを抱え込み、その回避行動としての食行動異常があることも多いからです。これまで高度肥満症患者の性格特性について心理テストやアンケートなどの報告はありますが、まだ一定の見解はなく、個々の症例ごとに、さまざまな観点から治療方針を決めていく必要があります。一方で、これらの報告をみると、表現は違うものの一定の方向性があり、いくつかの肥満症患者の性格特性についてサブグループを想定して考えるとよいとの報告もあります。

今後、性格特性から有効な治療方法を探るアブローチが期待されます。

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