外科手術の選択、それぞれの術式の効果やリスク、また費用のこと

それぞれの術式の効果の違いについて

肥満症に対する外科治療の効果は、超過体重減少率 (% excess weight loss:%EWL)で表現されます。超過体重とは理想体重との差(超過分の体重)で、日本人の理想体重はBMIが22kg/m2となる体重として計算されます。術式により、術後に得られる%EWLには差が認められ、ルーワイ胃バイパス術(RYGB)では50~70%、調節性胃バンディング術(AGB)では40~60%、スリープ状胃切除術(SG)では50~70%、胆膵路変更·十二指腸バイパス術(BPD/DS)では60~80%程度です。一般に、AGBでは術後2年程度かけて、ゆっくりと体重減少が得られるのに対して、RYGBやSGなどでは術後半年から1年の間に、急速に体重減少する傾向があります。どの術式が行われた場合も、その良好な減量効果により、高血圧、脂質代謝異常、睡眠時無呼吸症候群などの肥満関連健康障害は著明な改善が得られます。2型糖尿病に対する効果は、RYGBやBPD/DSといった消化管バイパスを伴う術式でより高い傾向にあります(表9)。

術式はどのように決めるのですか。

どの患者さんに対して、どのような手術を行うべきかという、術式選択に関しての絶対的な基準(アルゴリズム)は存在しません。患者さんの肥満度、肥満関連健康障害の種類ならびに重症度、既往歴、合併疾患、食習慣、全身麻酔下での手術に対する耐術能(全身状態)、起こり得る手術関連合併症とその発生リスク、術者および施設の習熟度や経験数などを参考に、個々の患者さんにとって最も適していると考えられる術式を、患者さんと医師との十分なディスカッションのうえで判断することが望ましいといえます。

表9 術式別の肥満関連健康障害に対する改善効果

外科治療のリスクについて

一般的な消化器外科手術と同様に、肥満症の外科治療にもリスクがあります。これには、出血、縫合不全、吻合部狭窄、創感染、腹膜炎、腸閉塞、臓器損傷など、手術に直接関連する合併症と、手術侵襲に伴う全身性の合併症(肺炎、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全、肝不全など)があります。AGBではシリコン製のバンドシステムを埋め込むことに伴う特有の合併症(リザーバー感染、バンドの逸脱やびらんなど)があります。外科治療全体の術後30日間の死亡リスクは約0.3%と考えられます。長期的には、特に消化管バイパスを伴う術式において、貧血や骨粗鬆症、ビタミン欠乏症などの栄養障害が起こり得ます。したがって、術後には定期的な栄養状態のモニタリングが必要となります。

外科手術の費用はどのようになつていますか。

日本では開腹手術としての胃縮小術が公的医療保険で認められていますが、現時点において、腹腔鏡下肥満外科手術は保険診療の適用外です。ただし、2010年1月に、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が先進医療として承認されており、将来的には保険収載される可能性があります。

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