どんな場合で外科治療が行われて、適応基準は決まっていますか?

外科治療は、どのような場合に考慮されますか

肥満症に対する外科治療は、美容的な目的のために施行されるのではなく、肥満に伴うさまざまな合併症を改善させる目的で行われます。つまり、肥満が原因で健康に障害をおよぼす危険があると判断されるような場合で、内科的な治療を試みても、長期的な減量効果が十分得られない症例に考慮されます。

適応基準は決まっていますか

日本肥満症治療学会は2013年に、『日本における高度肥満症に対する安全で卓越した外科治療のためのガイドライン(2013年版)』を発表しています。それによると、手術適応となる肥満症患者は年齢が18歳から65歳までの原発性(一次性)肥満であり、内科的治療を受けるも十分な効果が得られず、次のいずれかの条件を満たすものです。

①減量が主目的の手術適応は、BMI35kg/㎡以上であること。
②合併疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症、肝機能障害、睡眠時無呼吸症候群など)治療が主目的の手術適応は、BMI32kg/㎡以上であること。

海外の関連学会の適応基準と違いはありますか

米国国立衛生研究所(NIH)は1991年に肥満症に対する外科治療の適応を以下のように定めています。
•BMI40kg/㎡以上
•BMI35kg/㎡以上で肥満に起因する重篤な合併症を有しているもの

しかし、日本をはじめとするアジア人は、欧米人に比べて低いBMIで糖尿病が重篤化しやすいことが知られており、2005年にアジア太平洋肥満外科学会(APBSG)はアジア人に対する適応を以下のように定めました。
•BMI37kg/㎡以上
•BMI32kg/㎡以上で糖尿病を有するかもしくは2つ以上の肥満に起因する合併症を有するもの

さらに最近では、その基準を引き下げる動きが広がっていることから、日本肥満症治療学会のガイドラインでは先に述べたような基準になっています。現在、先進医療対象(腹腔鏡下スリープ状胃切除術)、保険適用(開腹胃縮小術)以外の手術は、原則、各施設での倫理委員会の承認のもと、臨床研究として症例ごとに手術適応と手術術式を慎重に検討し、術式の選択理由を含め、十分な患者説明と同意を必要とします。

本人が外科治療を望めば、外科治療は可能ですか

肥満は原発性肥満と2次性肥満に分けられますが、後者の薬物や他の内分泌疾患などが原因の肥満症の場合は適応になりません。当然ながら、二次性肥満の場合は、原疾患の治療が優先されます。また、重度の精神疾患やアルコール依存症の患者の場合も、適応には慎重になるベぎです。

手術をすれば簡単に痩せられるといった安易な考えをもつ人には、術後も食事制限と生活習慣の是正は必須であることを十分に理解してもらってから、実施すべきです。家族やパートナーの物心両面からのサポートも重要です。

患者さんとの術前の打ち合わせて確認しておくことはありますか

外科治療のみで減量ができるのではなく、実際には、術後の長期的な食事療法や運動療法を行うことによって減量が図られます。したがって、術後も専門医またはチームによる永続的な診療を受ける必要があり、このことを十分理解していることを確認する必要があります。当然、患者さんの生活歴、家族背景や精神疾患の既往等は十分把握しておく必要があります。

安心して外科手術のできる病院は、どのように探せばよいですか

欧米ではアメリカ肥満代謝外科学会によるCOE(Center of Excellence:卓越した拠点)の認定制度があります(2013年5月現在)。わが国でこれを受けている施設は一つしかありません。また、認定施設制度そのものもまだ確立していませんが、2013年3月現在、本学会にて試案が検討されている段階です。外科手術は、大学病院8力所、その他の病院数力所で始めており、それら病院の外科医が、他の病院の熟練した外科医と十分に連携し合い、修練を積んできていることに加えて、内科医、栄養士、臨床心理士などからなる支援体制が確立していることが重要です。

病院を探す場合、そろした内容がホームページに具体的に掲載されているかが参考になります。

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