「肥満」の診断基準、高度肥満のリスクを注意してください!

肥満の基準にBMIが用いられるのはなぜですか。

肥満とは、身体に脂肪が過剰に蓄積した状態です。蓄積した脂肪の量を簡便に推定する指標として、国際的にBody mass index(BMI)[=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)]が用いられています。

わが国の診断基準では、BMI25(kg/㎡)以上が「肥満」です。ただし、骨格筋が発達した運動選手、腎臓や心臓の病気でむくみ(浮腫)を来たし、そのために体重が増えている人の場合は、BMI25以上でも必ずしも肥満とはいえません。「肥満」とは、あくまでも“体脂肪が過剰に蓄積した状態”のことです。

日本肥満学会では、BMIで表される肥満(BMI25kg/㎡以上)を直ちに減量が必要な病気とはせず、肥満に起因ないし関連する健康障害を有し、医学的に減量が必要と考えられる状態を「肥満症」と定義しています。

BMIと生命予後は関係がありますか。

BMIと生命予後、あるいは疾患発生率との関係については多くの論文があり、関連があることは明らかです。わが国の成人を対象とした調査では、BMI22付近で男女ともに有病率が最小となっています。欧米の調査においても、BMI22.5~25.0の区間で死亡率が最も低く、BMI25以上の区間では、BMIがおよそ5増加するにしたがって死亡率が約30%増加することが報告されており、とりわけ心血管疾患による死亡率が高まります。

高血糖、高血圧、高コレステロール血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症の出現率は、BMIと正の相関を示し、BMI22付近に比べ、BMI25を超えるあたりからいずれの疾病の出現頻度も有意に上昇し、約1.5倍となっています。

一方で、BMIが低過ぎる場合も死亡率、有病率が高くなることが知られており、感染症の増加などが報告されています。

欧米とわが国で肥満の基準が異なるのはなぜですか。

日本人は、欧米人と比較して軽度の肥満でも糖尿病、高血圧、脂質異常などの動脈硬化危険因子を保有しやすいことがわかっています。その原因は不明ですが、一因として、膵臓β細胞が比較的軽度の肥満でも機能低下しやすいことが挙げられます。そのため、 欧米の肥満基準が「BMI30以上」であるのに対し、わが国では「BMI25以上」としています。

なお、比較的軽度の肥満でも糖尿病などに罹患しやすい傾向はアジア人にほぼ共通で、アジア各国は「BMI25以上」を肥満としています。

高度肥満にはどのようなリスクがありますか?

肥満は高度になるにつれ、糖尿病、高血圧、脂質異常など合併症の数が増えますが、BMI35以上では一般にこれらが重症化するとともに、睡眠呼吸障害(睡眼時抽無呼吸症候群:SAS)、睡眠呼吸障害を主因とする心不全、蛋白尿を伴う腎機能障害(肥満関連腎臓病)、さらには運動器機能障害(膝関節障害)、特異的な皮膚疾患などがみられるようになります。高度肥満は比較的若年者に多く、今現在、これらの合併症がみられなくても、将来、発症する危険性が高いことが問題です。なお、なかにはBMI35以上で筋肉体質のため健康で過ごす方もいますが、これらの方は、減量の対象にはなりません。

高度肥満でも糖尿病を有しない人がまれにいますが、これは膵臓のβ細胞機能が温存され、またインスリン抵抗性の因子が少ないために過度の脂肪蓄積が可能であったことが理由だと考えられます。しかし、このような人でもSASや肥満関連腎臓病、心不全といった合併症はよくみられます。

また、高度肥満の人は精神的問題や社会的問題を抱えていることが多いため、一般に治療の継続が難しく、いったん減量が成功してもリバウンドをしやすい傾向があります。

高度肥満者は、すべて減量すべきですか。

なかには、BMI35以上でも、内臓脂肪蓄積が少なく、合併症のない人がおり、BMIだけでは、直ちに「病気」とは診断できません。病気と診断し、減量を必要かを判断するには、合併症、あるいは内臓脂肪蓄積を確認する必要があります。

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